December 18, 2009
SIGGRAPH ASIA 2009・ステレオ映像の時代へ
![]() | 9時半、SIGGRAPH ASIA 2009の展示会場へ。 今日は、展示だけでなく、カンファレンスのほうも、いろいろ参加して勉強する予定。午前中は、Educators Programをいくつか覗いて歩く。CG教育者向けの講座や論文発表が充実しているのも、SIGGRAPHの特徴だ。 ランチタイムは、展示会のデジタルハリウッドのブース(写真Click!)へ。かなりの数の卒業生が、頻繁に訪れてくれている。本科生が、この展示のために作ったステレオCGアニメーションが、なかなかの人気。 初めて制作したステレオ映像とのことだけど、奥行感も自然で、ときどき大きくスクリーン手前に飛び出るシーンでも、目が疲れない。ステレオのアニメーションのデモソースとして、借り受けたいというメーカーからの申し出もあった。素晴らしい。 昨年は、19本のハリウッド大作映画が、ステレオ映像だった。これが映画館興行成績を押し上げ、チケット売上が全米で100億ドルを突破したのだ。家庭でのDVD鑑賞で済ませてきた人たちが映画館に戻ってきたというわけだ。来年は、50本が公開予定とのこと。まさにステレオ映画ブームだ。 撮影をステレオで行うには、二つのレンズの距離や光軸など、細かい調整が必要となる。現在、市販されているHDカムなどで撮るとき、そのままカメラを並列に並べると、左右のレンズの距離が離れすぎることが多い。左右のレンズは65mmぐらいを基本にすることが多いのだ。 そこで不恰好なのだが、カメラの1台を逆さまにして、光軸が90度になるように固定し、45度傾けたハーフミラーで、自由なレンズ間距離を設定するということが行われる。その治具をシステム化すると、写真にあるようなセットになる。 午後2時15分からは、大ホールでの暦本純一先生の『Enhanced Realities』の基調講演へ。あらゆるセンサーとコンピュータがネットにつながり、すべてを記録し、様々な可能性を見せる近未来。いつもながらクリエイティビティを刺激される話が聞けた。 参加者からは、人間がいろいろな側面からデジタルでアシストされる世界へ向かったとき、その先に何が起きるのか?知りたいという感じの質問が次々と出た。 午後4時15分からは、『No Hints for Creation in Your Manuals』という題名で、「リング・オブ・ガンダム」の映像制作の過程についての講演があった。 まず西井育生さんが、制作に関する概要を説明した後、ガンダムの産みの親・富野由悠季監督がステージに登場した。ホールにいるのは、ほとんどが日本のゲームや映画の現場で、CG制作を行っているプロフェッショナルたちなだが、、、 その彼らを前に、「君たちのやっていることは壮大な無駄だ!」と、会場が震え上がるほど大きな声で述べられるところから始まった。もう、ここからは富野監督ワールド、どちらかと言うと、全員が怒られているという空気感になった。 アニメ作品にかける思いの大きさは凄いと思ったのは、富野監督が、「宮崎さんにも勝ちたい!」、「ファイナルファンタジーにも負けない」とおっしゃったところだった。結局、その後も、3度ほど、富野監督に、全員が大きな声で怒られてしまったのだった。 監督が主張されたことについて、賛否はあると思うけれど、コンピュータグラフィックスで、エンタテインメント作品を作るという当たり前になってしまったことを、原点から見直す機会を与えてくれたと思ったのだった。SIGGRAPH史上、もっとも緊張感のある講演になったことは間違いなかった。 午後7時からは、同じく大ホールで「Electronic Theater Screening」。2時間ほど、たっぷり最新のCG映像作品を楽しんだのであった。 ホテルに戻り、9時過ぎ、さすがに疲れて、夕食を食べて、すぐ寝たのであった。 |
Posted by
mojosgy
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23:15
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